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Your dream candidate is just around the corner.

第四夜/信州そば 本陣・ルミネエスト新宿店

誰でもトライできる、ということを念頭に冒頭は二回連続で大手チェーン店、三回目は偶発的な番外編として非日常の生活圏外のお店をレポートしてきましたが、今回は新宿ローカルのお店「信州そば本陣」です。系列店には、歌舞伎町にある「甘味本陣」「お好み焼き本陣」「居酒屋本陣」などがある、いわゆる飲食チェーンの中のそば部門といったところでしょうか。利用率の高い駅であることと、駅にほど近い立地なので、食べてみようという方にはトライしやすい場所であるところからの選抜です。

⚫︎信州そば 本陣 ルミネエスト新宿店

JR新宿東口の地下改札から、歌舞伎町方面に向かう途中。新宿の憩いの場所として、おっさんたちに根強い人気を誇る老舗ビア&カフェ「BERG(ベルグ)」のお向かいにあるお店です。ベルグの自家製ベーコンは非常に美味しいので、これまで小腹が空いた状態でここを通り掛かれば、確実にベルグで「ベーコンサンド」と「コーヒー」を選ぶのが、粋な大人のたしなみというもの。本題は「コロッケそば」にまつわる話を書いている手前、強くは言えませんが、もし「ベルグ」未経験であるならば、まず、コロッケそばなんかよりも、ベルグでベーコンサンドを食べるべきです。本当。とはいえ、我ら日本人、猛烈に「かつお節出汁と、醤油の匂い」を完全無視なんてことはできないわけです。なので、たまに、稀にたまーにだけども、そんな気分でそばをすする、なんてことがあってもいいのかもしれません。実際、、ここ「信州そば」にはメニューには「晩酌セット」という「そば、ビール、枝豆」のセット、単品で冷酒や、枝豆などもあるのが個性的。場所柄、手早く、さくっと飲みたい勤め帰りのおじさまたちが活用しているのかな?そうか、そういう意味で「ベルグ」と並んでいるのが相性良い店なのかもしれません。

で、コロッケそばに話を戻します。黒々と濃い色のつゆは、箱根そば以上に醤油濃いめで塩辛いのですが、かつお節の香りもちゃんとしますし、甘さ控えめなので、むしろ「濃い」とは言っても、すっきりした印象。ただ、麺だけは角のない、断面丸い系のゆで麺で、やわらかすぎる印象。実は、初回に書いた「富士そば」「箱根そば」に関しては企業努力のたまものか、年々麺が進化しており、実際古き良き「立ち食い」のそばと比較すれば、かなり、こしも強くなり(富士そばは顕著)、しゃっきりしたそばになっているのです。そういう意味で、ここのそばは、昔と変わらぬ、「ゆるい」(笑)立ち食いそば然としたゆで麺です。(なので「ゆでたて」って看板に書くのはさすがにどうかと思う。立ち食いそばに、誰もそこまでは期待しないんだからさあ…)

コロッケは、柔らかめで、じゃがいも感が強いタイプ。そのため、つゆを吸い込み、あれよあれよと崩れていく感じです。濃いめのつゆなので、それもまた良しといったところ。また、添えられたワカメは「ないよりはマシ」のレベルですが、ちょっとケチっている印象でした。味わいとしては、東北から新宿へ出てきた中年男性が、歌舞伎町の喧騒と、副都心の人工物に疲れ切り、体を温める手っ取り早い方法として改札近くの立ち食いに駆け込んだと想像してみると良いかもしれません。垢抜けない真っ黒な汁でそばを書き込みつつ、体に熱が戻り始める風景。そんな昭和の時代への郷愁は、このシチュエーション、この味で、十分に感じ取ることができるだろうと思います。麺のコシがどうとか、出汁がどうとかいった細かな事は、テナント料も高そうな立地で、この値段でがんばっているわけですから、そこに文句はつけないことにするのが、「粋」というものなのかもしれません。何より、あの界隈に、かつお出汁と、70年代の新宿の残り香が消えずに残っているということに感謝したいと思います。


 

住所/東京都 新宿区 新宿 3-38-1 ルミネエストB1
 
アクセス/JR新宿駅東口改札を出たら左に50m
 
TEL/03-5379-7068
 
営業時間/7:00~23:00
 
定休日/無

コロッケそば:410円
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